Googleマップを眺めていて、「荒川中洲南端」という謎の先っちょが気になったことはありませんか?
この記事は、そんなふとした興味から歩き出した体験をまとめたものです。
地図上では見えても、実際に歩いて行くとどうなのか。道中の雰囲気やアクセス方法を知りたい方に向けて、現地までの道のりをゆるっとレポートしています。
読み終える頃には、荒川沿いの静けさや西葛西駅周辺のにぎやかさを、ちょっとリアルにイメージできるはずです。ふらっと行ってみたい方の参考になれば嬉しいです。
西葛西駅からスタート、にぎやかな街を抜けて
ガード下商店街に漂う雑多な活気


今回の出発地点は東京メトロ東西線の西葛西駅でした。駅を出た瞬間に感じたのは、にぎやかで雑多な空気です。
ガード下には飲食店がずらりと並び、ラーメン店や牛丼チェーン、ファストフードから居酒屋まで幅広いラインナップが目に飛び込んできました。
昼間にもかかわらず開いている居酒屋も多く、街全体に活気があふれていました。さらに西葛西駅周辺は外国人の姿も多く、独特の多文化的な雰囲気を醸し出していました。
静かな街並みを歩き慣れている私たちにとってこの賑わいは新鮮でありながら、少し圧倒されるスタートでもありました。活気にあふれる駅前をあとにして、川沿いを目指して歩き始めました。
駅前のにぎやかさに押され、静かな場所を求めて


駅前を歩いていると人の流れと飲食店の呼び込みの声、車の往来が絶え間なく続き、落ち着く暇もない印象を受けました。
確かに賑わいがあって元気な街ですが、今回の目的はもっと静かな空間を歩くことにありました。活気ある駅前の喧騒を後にし、少しでも静かな空気を求めて足を速めます。
幹線道路を渡り住宅街の細い道へと進んでいくうちに、次第に街のざわめきは薄れていきました。
騒がしい西葛西駅周辺を抜け、川沿いの静かなエリアにたどり着くための序章が、ようやく始まったという感覚がありました。
にぎやかな街を背に、川沿いへと進む

西葛西駅の賑わいを背に、私たちは川沿いを目指して歩き続けました。
ガード下を抜け、信号を渡り、住宅街へと入ると空が広がり、少しずつ静かな空気に包まれていきました。時折見かける小さな公園や地域の商店に街の生活感を感じつつ、先を急ぎます。
川沿いに近づくにつれて吹き抜ける風が心地よくなり、都市の喧騒から解放されていく感覚が徐々に強まっていきました。
目の前に広がる川の流れを見たとき、ようやく静かな場所に辿り着いたという小さな達成感を覚えました。ここから先は都市の隙間にある静けさを楽しむ時間の始まりでした。
Googleマップを信じたら、まさかの迷子(笑)
清砂大橋で中洲へ降りられず、まさかの詰み



川沿いに出た私たちは、Googleマップを頼りに目的地を目指して歩き始めました。
地図上では清砂大橋を渡ればすぐにアクセスできるように見えたため、何の疑いもなく進んでいたのですが、現地に着いてみると衝撃の事実が待っていました。
清砂大橋は中洲と立体交差しており、中洲へ降りるための道が存在しなかったのです。地図では繋がって見えたのに、実際は高架の上を車が走るだけで降りられる構造にはなっていませんでした。
目の前に立ちはだかるフェンスを見上げながら、「これは完全に詰んだ」と静かに悟りました。まさかスタートして早々にこんな大きな壁にぶつかるとは思ってもいませんでした。
立ち尽くして再検索、迂回決定

清砂大橋で立ち尽くしながら私たちはすぐにスマホを取り出し、Googleマップで代替ルートを検索しました。表示された結果は想像以上に絶望的でした。
ぐるりと大きく迂回して別の橋を渡るしかないルートが提案され、所要時間はなんと1時間38分。徒歩で1時間以上遠回りする現実を前に、しばらく無言になりました。
元々「すぐ着くだろう」と思っていただけに、この展開はあまりにも辛いものでした。
しかしここで引き返すという選択肢は初めからありません。スマホを握りしめながら意を決して遠回りルートを進むことにいたしました。
葛西橋からなんとか軌道修正



絶望を乗り越えて歩き続けた私たちは北へ進み、ようやく葛西橋にたどり着きました。葛西橋には清砂大橋にはなかった歩行者用のスロープが整備されており、無事に中洲側へ降りることができました。
あのまま引き返していたら、今日の探検はここで終わっていたかもしれません。
迂回ルートは思ったよりも遠く感じましたが、中川沿いの景色に励まされながら、なんとかモチベーションを保つことができました。
葛西橋から降りたあとは中央環状線の高架下に沿った舗装された道を歩き続けるだけです。
大きなトラブルを乗り越え、再び前を向いて歩き出した私たちは改めて静かな達成感を感じながら先を目指しました。
中央環状線の下をポテポテ歩く
コンクリートと川風だけの世界



葛西橋から中洲に降りた私たちは、中央環状線の高架下に沿って続く道を歩き始めました。ここは車の通行がなく、歩行者と自転車だけが進める静かな通路です。
高架が直射日光を遮ってくれるため、気温が高い日でも比較的快適に歩くことがます。
ただし周囲に広がるのはコンクリートの柱と舗装された道、そして遠くに見える川だけという、非常に無機質な世界です。
華やかさや目を引く景色は一切ありませんが、それでも川から吹き抜ける風が時折心地よく、単調な道のりに小さな癒しを与えてくれました。
静かに歩く時間が続く中で、都市の中にもこうした空白のような空間があるのだと、改めて感じながら足を進めました。
すれ違うのは釣り人と自転車だけ



この道を歩いていると、すれ違うのは釣り人と自転車に乗った人たちばかりでした。観光客らしい姿やジョギングをする人々はほとんど見かけず、静かにそれぞれの目的に向かっている印象です。
釣り人たちは護岸に腰を下ろして竿を垂れ、川面をじっと見つめています。自転車の人たちは音も立てずにスーッと通り過ぎていきます。
西葛西駅前の喧騒とは打って変わり、ここには個々が静かに時間を過ごす空気が漂っていました。誰もが自分の世界に入り込んでいるようで、私たちも自然と言葉少なに歩みを進めていました。
都市の中のこんな場所にこれほど穏やかな時間が流れているとは、少し意外に感じました。
都市の隙間で味わった、不思議な孤独感

中央環状線の高架下を歩き続けるうちに、周囲の無機質な景色にも少しずつ慣れていきました。視界に入るのはコンクリートの柱と舗装された道、そしてその先に広がる川面だけ。
そんな単調な風景の中でも時折吹き抜ける川風や、足元に咲く小さな雑草が目に留まります。人工物に囲まれた世界のはずなのに、不思議と自然の存在を感じる瞬間がありました。
人通りも少なく、誰とも言葉を交わさない時間が続く中で静かな孤独感が心に広がっていきます。しかしその孤独は決して寂しいものではなく、むしろ心を静かに満たしてくれるものでした。
都会の中にこんな静かな時間が存在していることに、少し驚きながら歩き続けました。
歩き切ったあとに、そっと思い出す立ち食いそば
出発前に食べた「そば処やしま」の立ち食いそば

西葛西駅に到着してすぐ、歩き始める前に立ち寄ったのがガード下にある「そば処やしま」です。賑わう駅前の中でも、ひっそりと構えるその店構えに惹かれ、ふらりと足を踏み入れました。
券売機の前で迷うことなく選んだのは「青ねぎあさり天そば」。
程よく混雑した店内で待つことほんの数秒、受け取った丼は立ち食いにしては意外にしっかりとした器で、手にずしりとした重みが伝わってきました。
細めで柔らかい蕎麦にたっぷりの青ねぎが乗り、あさりの天ぷらが磯の香りを漂わせていました。
派手さはないものの立ち食いらしいスピード感と、思わず笑顔になるような素朴な美味しさ。これから歩くためのエネルギーを、静かにチャージする時間となりました。
疲れた身体にじわっと沁みた、あの一杯

2時間以上歩き続け、疲労がじわじわと身体に蓄積していく中で、ふと先ほど食べた立ち食いそばの味を思い出しました。
あのときは「とりあえず腹を満たそう」と思って食べただけでしたが、歩き疲れた今振り返ると、あの一杯が妙にありがたく思えてきます。
特別な料理ではないけれど、温かいそばのつゆと優しい青ねぎの香りが脳裏に蘇りました。
普段なら何気なく食べて終わる立ち食いそばですが、こうして体力を使った後に思い出すと、あの時間が確かに一日の一部を支えてくれていたのだと実感します。
些細なことでも後から大事な記憶になる。そんな小さな発見を、そばと一緒にかみしめながら帰路につきました。
ちなみに先っちょの詳細は

今回の散歩の目的地だった「荒川中洲南端」については、この記事では詳しく触れておりません。
現地の様子や先端で見た景色など、さらに詳しい内容を知りたい方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。この記事では、今回の徒歩旅で辿り着いた先っちょの詳細なレポートを掲載しております。
なお、こちらの記事はあくまで道中の様子や、歩いて感じたことを中心にまとめたものとなっております。
先端に到達したときの感動や、そこから見た風景については、また別の視点からじっくりとご紹介しておりますので、興味を持たれた方はぜひリンク先の記事も合わせてご覧ください。
歩き旅の続きが、きっとそこに待っているはずです。
まとめ

今回歩いたルートは思っていた以上に静かで、地味な道のりでした。駅前の賑わいを抜け、高架下をひたすら歩き、すれ違うのは釣り人と自転車だけ。
特別な観光地でも絶景スポットでもなく、ただそこに存在する道と空と川だけ。それでもポテポテと歩き続ける中で都市の隙間に流れる静かな時間を味わうことができました。
出発前に食べた立ち食いそばの温かさも、疲れた身体にじわっと沁みるような記憶になりました。派手な達成感はありませんでしたが、無駄なようでいて確かに心に残る一日だったと思います。
たまにはこんな地味な探検も悪くないな。そう思いながら帰り道の足取りは少しだけ軽くなっていました。
編集後記

今回の散歩では「荒川中洲南端」に向かう道のりを歩いてきました。以前からGoogleマップを眺めていて、なんとなく気になっていた先っちょです。
中央環状線の高架道路がすぐ上を通るこの場所、車で通過したことがある方は多いかもしれませんが、実際に歩いて向かう方はあまり多くないのではないでしょうか。私自身も今回初めて、自分の足で確かめに行きました。
歩いてみると、舗装された堤防と橋梁に囲まれた無機質な空間の中に、意外なほど静けさが漂っていました。釣り人たちがそれぞれ静かに時間を過ごしていて、何もないけれど、それがかえって心地よく感じられる場所でした。
特別な景色が広がっているわけではありませんが、中央環状線の高架下を傘なしで歩けるという便利さもありますし、気軽なお散歩コースとしては意外と悪くないかもしれません。気になる方は、ふらっと歩いてみても面白いかもしれません。
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