クマ子の小説風ブログ:静寂の秘境、下手賀沼での冒険

語る

私の名前は熊田久真子(クマダ クマコ)。
クマった商事の広報担当として働いている、パスタと鮭と、ちょっとお酒が大好きな普通の女子だ。

私の業務内容は社外へのPR活動に関する資料作成や、自社WEBサイトに掲載する記事の企画からそれに関わる社内部署や業者との各種調整などだ。

普段はデスクに向かう日々だが、休日は自然との対話を求め冒険に出ることが多い。
今回の目的地は千葉県にあるひっそりとした秘境、下手賀沼だ。

その日、私は成田線を利用して湖北駅へと足を運んだ。
駅前には飲食店やスーパーマーケットもあり、必要な物は一通り揃えることができる。

下手賀沼周辺には飲食の選択肢がほとんどないことを私は事前調査で知っていたため、この駅前で食料と水をしっかりと調達することにした。

駅前の弁当屋では、悩んだ末に店オススメのミックスフライ弁当を選んだ。本来は鮭が好きなのだが、メニューの多さに決め手が持てず、結局はオススメに任せてしまったのだ。

自然の中で揚げ物を食べるのは少し気が引けるが、この選択でも大丈夫だろう。少しの後悔はあるものの、これが今日のランチとなる。

駅を出ると、湖北台と呼ばれる美しいニュータウンの坂道を下って行く。
道も広く交通量も少ない、静かな住宅街だ。

しかし手賀沼ふれあいラインを通り過ぎると風景は一変し、新田と名付けられた田園地域に突入する。ここはかつて手賀沼の干拓によって開発された新しい田畑が広がる地域なのかもしれない。

目的地の下手賀沼は、地平線上に見える台地のさらに向こう側に位置している。

広大な新田を抜け、地平線上に見えていた台地に差し掛かる。ここは古くからの趣を残す住宅地で、手賀の名を冠する地域だ。

神秘的な竹やぶの坂道を登って台地の頂へ出ると、そこには手賀城の跡があり、現在は神社として存在している。

お参りを終え、その場所の歴史を感じながらほっと一息つく。

手賀の街は、ノスタルジックな雰囲気の中にも生活感が溢れ、今でも活気に満ちている。昭和レトロな雑貨店を巡ったり、地元の神秘的な寺社仏閣に触れるだけで、あっという間に時が過ぎてしまう。

その後、手賀の台地を下り、今井と呼ばれる谷戸へ向かう。この谷戸を流れる小川の下流に、目的地の下手賀沼は位置している。

美しい日本の原風景を楽しみながら、小川に沿って歩を進める。この地域は桜並木で有名だが、訪れた時期は既に花見の季節を逃してしまっていた。

湖北駅を出発してから約2時間。
下手賀沼探索のスタート地点である今井三号橋に到着した。

私はさっそく下手賀沼の周囲を探索し始めた。この地域は観光地化されておらず、その静寂がかえって新鮮だった。

周囲には農作業をする人々や数えるほどの釣り人しかおらず、人の少なさが一層、自然の美しさを際立たせていた。

下手賀沼には遊歩道が整備されていないため沼畔を歩くのが難しいが、その代わりに豊かな水が満ちた田園地帯をゆっくりと散歩することができた。

周囲の田畑と素晴らしい自然の景観を堪能しながら、さかきばら農園で新鮮ないちごを購入した。地元の産物に触れることは、旅の大きな楽しみの一つだ。

途中で見つけた無人の野菜直売所でのセルフ収穫体験も、都会の喧騒から離れた貴重な体験となった。
ただ、セルフ竹の子掘りでは竹の子を一つも見つけられなかったのが、少し残念だった。

下手賀沼を一周した後、体は疲れていたが、その土地ならではの景色に心が癒された。

しかし、帰路は予想外に困難だった。下手賀沼周辺の道路は危険が多く、特に夕暮れ時は視界が悪くなるため歩くのが危険を伴う。

地元のバスの本数は思いのほか少なく、結局、千葉ニュータウン中央行きのバスを30分待つことになった。

それでも、この旅の終わりに地元の銘酒を手に入れることができ、何とか帰路につくことができた。

帰宅後、軽くシャワーを浴びて着替えた後、私はお土産に買った銘酒のボトルを手に、行きつけのバーへ向かった。

普段から親しみのあるその場所で今日の経験を振り返るためだ。

「こんばんは、クマ子さん。今日もお疲れさま。」とクマスターが話しかける。

「ありがとうございます。今日は特に疲れたから、少し癒されに来ました。」と応じながら、私はカウンターに腰を下ろし、カバンを椅子の横に置いた。

「今日はどうでしたか?何か新しい冒険がありましたか?」

「はい、今日は下手賀沼を散策してきましたよ。あそこは本当に静かで、観光地化されていないんです。ただ自然と向き合える場所で…」

クマスターが興味深そうに首を傾げる。

「へえ、そうなんですね。都会の喧騒から離れられて、良いリフレッシュになったでしょう?」

「本当にそうでした。野鳥の声や風の音だけが聞こえるんですよ。ただ、帰り道はちょっと大変でして…」クマ子が少し苦笑いを浮かべながら続けた。

「そうだクマスター、これ、地元の銘酒なんです。『特別純米酒 神崎蔵』というお酒です。ぜひ一緒に味わってほしいと思って。」

「おお、これは珍しいですね。クマ子さん、ありがとう。さっそくいただきましょう。」とクマスターは二人分のグラスに注いだ。

「これは素晴らしいですね。クセがなくて飲みやすい。お米の香りが豊かでありながらも、まるで清涼飲料水のように爽やかですね。すっきりとした味わいで日本酒が苦手な人にも楽しんでもらえるでしょう。水と米の特長が際立った、良いお酒ですね。」マスターが一口飲んで目を細めた。

「そうなんです。自然豊かな場所で作られたお酒って、なんだか心も体も癒される気がします。このお酒、飲むたびにあの風景を思い出して、また行きたくなりますよ。」と笑顔で話した。

「まさにその通りですね。良いお酒はその土地の空気や水、自然が育てるんですから。このお酒も、製造過程での手間暇が感じらますね。それが飲む人の心にも響くんです。」

「ええ、それに、こうして美味しいお酒を共有できるのも素敵ですよね。こんなにも豊かな味わいの世界に触れることができて、それがとても楽しみです。」

バーの柔らかな照明の下で、私はカウンターに座り、ゆっくりとグラスを傾けながら、今日一日の出来事を静かに振り返っていた。

下手賀沼での散策は、自然に囲まれた穏やかな時間で、心が洗われるような体験だった。

野鳥のさえずりや木々のささやきが日常の喧騒を忘れさせ、地元の農園で購入した新鮮ないちごの甘さは、今も鮮明に記憶に残っている。

明日への準備も整い、この穏やかな時間が私に活力を与えてくれる。自然の中で感じた平穏を胸に、明日も前進する勇気が湧いてくる。新たな挑戦にも積極的に取り組めそうだ。

そんな思いを巡らせているうちに、バーの時計が深夜を告げていた。そろそろ帰る時間だ。静かな夜道を歩きながら、下手賀沼での散策中に得た貴重な思い出が、私の心を優しく照らし続ける。

そして私は、また明日を迎える。

こうしてクマ子の「沼った生活」も続いていく。明日も、そしてこれからも。

手賀沼の訪問記についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。

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クマ子の冒険を綴った小説風ブログ。古利根沼での一日を通じて、冒険と新たな発見の価値を探ります。

 

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